
『近い緑』 The Green Short Distance AwayⅡ・・・どういうことだろう、近い緑とは。
鉄で製作された作品(オブジェ)である。室内(ホール)の隅に設置されたものだと思うけれど、月日の経過とともに当然劣化し錆びてていく。
いずれ、いつの日か、錆びは深刻にもその形態を崩していくに違いない。繕うべくもなく錆びの結晶(粉末)と成り果てる宿命を想定できる作品であり、そのように意図された作品である。
緑色でもないものを称して緑と印象付ける。鑑賞者は(緑と言うんだから緑を想定している物、つまり、これは樹木の抽象化なんだろう)と推し量る。
緑=生命、あるいは大きく地球生命と捉えてもいいかもしれない。
生命尽き果てるまでの時空を孕んだオブジェである。遥か遠い未来・・・しかしそれは近い未来かもしれない。《生と死の距離》は測りがたいが、真であることを証明する定理をこの作品の中に潜ませている。
この作品は《存在の原理》であり、終末の時空を抱えた《祈りのシンボル》である。
(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)