芽が出て 膨らんで 花開く…けれど、枯れない花はない。いつかは劣化し、この地上から姿を消していく。

 花の季節も記憶にないわたしだけれど、68年という時間を経過したことだけは事実であり、いつか散るという不可逆を生きている。すでに下降・劣化の旅の途中、息が切れるし、記憶も定かではない。思い出せないことだらけで、一日の大半を探し物をして暮らしている。

 あのものはどこへ消えたのだろう・・・ため息、頬杖、遠い眼差し。

 整理整頓に疎い、置いたら置きっぱなし。重ねて見えなくなったものは無に等しい。それを探そうとするのだから徒労に終わりるしかない日常。

 付けて加えて気力の低下、《今日出来ないことは明日に》という怠慢、明日は永遠に来ないかもしれない。

 《まずいな、まずいな》自身を叱咤する。
 枯れた花にいくら活性剤を注いでも再び返り咲くということはない、諦念、うす笑い・・・。


 しかし、年配者には年配者としての生き方があるに違いない。役立たずの後ろめたい立場を卑下してはならないと、自分に言い聞かせている。

 《美しい黄昏》を目指す権利。
 人として正しく優しさに溢れた温かい選択を目指したい。たとえ、今日が冷たい冬の最中であっても。