「美術館めぐり』の一環、横須賀美術館での富田先生の授業。
「北斎は浦賀に居住していたことがあるんですね。ですから、《千絵 相州浦賀》などの作品が残されています。小林清親の《日本名勝図会 観音崎》などもあります。
色々な風景が見えますが、これらはみんな美人画の背景といった趣きで描かれたものが主なようです。」各コーナーを回り、明治維新前後の横浜開港当時の様子を描いた浮世絵なども拝観。
一時間余りの説明の後、聴講者から「あの線は後で描いたものですか」という質問があった。
「いいえ、あれは主版と言って最初から彫られています」
「でも、文字なんかは違うでしょう」と重ねて伺うと、
「文字もすべて最初から彫られたものです」という答え。
浮世絵の絵や構図の巧みもさることながら、わたしも驚異・驚嘆の眼で見つめた彫師の高度な技。
「相当な給金が出たんでしょうか」の問いに
「いえ、安かったと思いますよ」と。
《とてもとてもまねできるレベルではない!》左右から彫り進めてあの流暢な細い線描を彫り出すなんて、神業としか思えない。
「あの道具類も手作りで、凄かったわねぇ」と誰かが言った。小刀一つまともに砥げなかったわたし、三流どころか補助としてさえ使えないロクデナシである。
大いに恥じながら、浮世絵師たちの神業に感服。
現在では写真製版になり、かつての技術は遠いものになってしまった。凄技に圧倒された浮世絵展、ため息は非常に深く、作品の前で恐縮至極、気も遠くなる思いがしたことでした。
富田先生、丁寧な説明ありがとうございました。