赤一色の背景に石化した着衣(上着)が台座の上に象徴的に鎮座している。
 そして「媚薬」という題名。

 結びつき連想されるものは何だろう。
 背景を想像不可の色面で塗りこめているということは、想像を絶するような未来、超未来の暗示であることは間違いない。そしてその時空において『媚薬』と呼ばざるを得ない状況とは?


 地球の変遷を考えてみると、最初の生物は…そして歴史を物語る最古の石とは…。人類などはつい最近の出現である。してみると、この先億年を経た地球に人類は存続するのであろうか。


「これは、かつて人類と呼ばれた我々の祖先が身に着けていた物らしい。当然、この中におさまる肉体というものがあったのさ。」
 超未来につながっていくであろう人類のDNAの進化。環境汚染、環境破壊により現在の人類の態を成していないかもしれない。

「恋しいねぇ、この中にはわたしたち祖先の肉体があったんだよ。情欲という機能が生殖を促していた時代があったんだよ。」
 超未来人たちの侃侃諤諤。

 マグリットは遠くを見る眼差しで夢想する。にんまりと我意をもって作品を仕上げたのではないか。

(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)