父が縉紳館へ出かけていくまでは、母になにも言うわけにはいかない。でないと、父に知られてしまい、すべてが水泡に帰するからである。だから、母に切りだすのは、父が家を出ていってからになる。その場合でも、母の健康を考えると、いきなりせっかちに切りだすことはできない。


☆父が出ていくまでは、母に言うことができない。さもないと、父に知られてしまう。すべては不可能な被造物である。さしあたり差し支えないが、その場合も、母にかかる尊敬は、傲慢でも皮肉でもありません。