しかし、フリーダは、なにも見つけることができなかった。もしかしたら、錯覚だったのかもしれない。彼女は、Kのそばへもどってきたが、その途中で、有食のときの話なんか忘れてしまったかのように、うずくまってひくひく泣いている助手の髪の毛をなだめるようにそっとなでてやった。Kはそれにはなにも文句をつけなかったが、もう薪をくべるのはやめろと助手たちに命令した。運びこんだ薪をほとんど焚きつくして、暑くてやりきれなかったからである。


☆しかし、フリーダ(平和)は、何も見ることができなかった。
 先祖のことは錯覚だったのかもしれないが、絞首刑の方法が甦り、終末の話を忘れ、うめくようにしゃがみこんだ。助手(脳、知覚)は、その大群を慰めるようにし、何も言わなかった。ただ、助手(脳、知覚)は、荒地がすべて地獄と化していることに緊迫し、激昂して行くのを感じていた。