「きみはテーモのところへ帰るかい。」わたくしはふと気がついて云ひました。
「帰るよ。姉さんが居るもの。」ファゼーロは大へんかなしさうなせまった声で云ひました。
「ウン。だけどいぢめられるだらう。」わたくしは云ひました。
「ぼくが行かなかったら姉さんがもっといぢめられるよ。」ファゼーロはたいとう泣きだしました。


☆記(書き留める)鬼(死者)の運/めぐりあわせ。
 記(書き留める)死の虚しさ。
 題(テーマ)は照(普く光があたる=平等)の薀(奥義)を運/めぐらせている。
 幸(幸福)を旨とし、究/つきつめている。