『城』１４８７。

というのは、Kにとって骨折り甲斐のあることは、クラムの身近にいることそれ自体ではなく、自分が、ほかのだれでもなく自分だけが自分の願いごとをもってクラムに近づくこと、しかも、クラムに近づいて、そこで安住してしまうのではなく、クラムを通りすぎて、さらに城のなかにはいりこむことだったからである。

　城/Schloss→Schluss/閉鎖、終末、決定、結論。

☆というのはKにとって努めるに値することは、クラム（氏族）のそばにいることではなく、自分以外の誰でもなく自分の願いごとをもってクラム（氏族）に近づくこと、そしてクラム（氏族）に近づいて、そこに留まるのではなく、通り過ぎて終末＝死（本当の死）の中に入ることだったからである。