「ムラードの森のはづれだよ。」
「あゝこれかしら。何の木だい、楢か樺だらう。唐檜やサイプレスではないね。」
「楢と樺だよ。あゝこれか。ぼくはねえ、どうも昨夜の音はこゝから聞こえたと思ふんだ。」
「行かう行かう、行って見よう。」ファゼーロはもう地図をもってはねあがりました。
「わたしの行っていゝかい。」
「いゝともぼくさう云ひたくてゐたんだ。」


☆新しく化(形、性質を変えて別のものになる)奇(不思議な)幽(死者の世界)
 過(あやまち)と闘い、悔いる憂(悲しみ)の禍(不幸)を削る也。
 隠した文(文章)の詞(言葉)には構(組み立てた)講(話)の幸(幸福)が現われる。
 字の図りごとで、考えを運/めぐらせている。