「お内儀さんのところへ行ってあげようか」
「お願いします。じつは、村長さんの家までお迎えにいこうとおもったのですが、お話をなさっているところでした。お邪魔をしては悪いとおもい、女房のことも気になったものですから、また走って帰ってきました。ところが、あれは、わたしをそばへ寄せつけませんのでね、こうしてお帰りを待っているしかなかったんです」

 戸口/Tur→Tour/企み。
 お邪魔/steren→storgen/放浪する。
 はしっえ/lief→leif/身体。

☆「行くべきでしょうか」と、Kはたずねた。
 「ぜひお願いします」監視人は言った。「村長(死への入門)まで迎えにいこうとおもったのですが、聞いていると、企み(計画)を話しているところでした。ふたたび戻った身体は放浪すべきではなく、自由を危惧しますが、自由はわたし(監視)を寄せつけませんので、無として残り、君を待つしかなかったのです。