野の花に心惹かれる。
 ただ黙ってあたり前のように咲き、あたり前のように消えていく。
 
 彼岸花が咲きそろっている。野山に咲くものだけど愛好家の人から分けてもらった球根、今年もたくさん花をつけている。
 なのに、下さった人は突然のように転居してしまい、会う事もなくなって三年。

 彼岸花が咲くたびに思い出している。
「お元気ですか」

「会いたいですね」

 彼女の家の前を通ると、微妙に何かしらの位置が動いている。たとえばサンダル・・・昨日は塵取りの置いてあった場所が玄関脇から車庫の隅に・・・。ごく稀に誰かが訪れているのではと思われる。何かの問題が発生して一夜のうちに風のように消えてしまった一家・・・家はそのままの状態・・・問題が解決して再び戻ってきてくれる日を期待してもいいのだろうか。