洗濯物を入れるのにベランダに出て見るとEさんが軽トラの荷台に透明ビニール袋に入れた衣類を乗せていた。
 ああ、お母さんを病院に置いて息子さんだけ病院から戻ったんだと思い、様子を聞くために出てみると、息子さんは「お母さん~」と言ったのである。

《えっ、お母さんは、救急車で病院にいき、入院したんじゃないの。意識不明って》

 思わずわたしは逆戻り、家に入ってしまった。聞いては失礼のような気がしたから・・・。


 少し経って、軽トラはどこかへ走り去っていったけど・・・汚れた衣類(多分、病院で着替えさせられたのに違いない)をコインランドリーで洗濯するために行ったのだと思う。袋のほかにカゴを乗せていたけど、あの中には洗剤が入っていたのか)
 二時間もすると、帰って来た。多分そうだと思った。

 それにしても・・・なぜ戻ったのか。

「おかあさん、ぼくは診察室の様子をのぞいていたんだからね」と言う声が。
(想像の範囲内だけど、彼女、Eさんは医師との応答が可能だったのではないか)
 息子の怒声の聞こえない優しい看護師さんのいる病院に戻りたくて・・・いえいえ、一時的に意識不明になり、気力も何も萎えてしまったのだと思う。

 要するに治療は終わって、あとはリハビリに通院するということらしい。
 確かに大変には違いない。生きることは大変。
 その大変さをEさんを通して学習している。
「何かできることがあればお手伝いいたしますよ」と、息子さんには声を掛けている。