昼過ぎ、衣笠城址のバス停に座っていると、YRP野比駅から来たバスから一人の老女が降りてきた。キャリーバックと大きな荷物、それに普通のバック・・・異様なほどの大荷物とまでは行かないにしてもかなりなもので、小柄な老女の身には負担が大きすぎるように思われた。

 わたしの横に腰をかけ、バスを待ったけど中々来なかった。そのうちものすごい豪雨・・・ベンチにも座っていられず傘をさして立ち上がった。
「すごい雨ですね」
「どちらまで行かれるのですか」(多すぎる荷物が気がかりでつい訊ねた)
「馬掘までです。この路線で、中央に出てそれから向こう方面に乗り換えるのです」
「ということは三回も乗りかえるわけですね」
「ええ、慣れていますから、それにバスを下りたら家はすぐ前ですから」という。

 荷物は新品、購入して来たものは・・・布団のように見えた。
 この雨の中、午後からは豪雨の予報もあったのになぜ?

「嫁は土日は外泊です。孫も・・・孫もねぇ」と言葉を濁した。
「同居ですけど、嫁は家の中のことは何もしないんです。息子が何でもするんですよ」
 家庭内の不和・・・身なりも上等、3月11日の震災にはオール電化で困りました、という不自由を感じさせない生活ランク。

 不必要と思われるものを遠出してまで買い歩く、それも両手に余るほどに。
 どこかでバランスが崩れている。
「もう、昔とは違いますから、家族は当てになりません。だからわたしは鍛えているんです」

 確かに・・・お金を使って、遠出して、いろいろ買い込み、雨にも負けない日常。齢80才過ぎと思われる老婦人の覚悟。

 老後・・・それぞれの人生の総決算の時かもしれない。