篠山紀信・・・不意に思い立ったこの作家・・・墓所でのヌード撮影でなにか問題になった人くらいの知識しかない。

 この作家の作品を逐一追いかけているファンというのではない、むしろ無関心である。
 ただ不意に、写真そのものに関心があるというのではなく、その行為に驚愕の念が頭をもたげた今朝のわたし。

 前衛・・・最新のビルの前に美しい女のヌードを並置する。
 極端に差異ある空気を作り出してしまう。
 お墓という特別な場所、先祖の魂が宿る、いわば神聖なスポットに、原初的ではない現代的な美女のヌードを見せる大胆不敵な行為、不敬罪・・・。
 人が恐れているものを抉り起こすような暴挙。

 この人は明らかにカメラマンの枠を越えた芸術家であり、哲学者なのだと思う。
 エロティシズムは究極、本能である。それを慎み深い信仰、先祖という過去や極めて今日的な街を背景にするこの作家の信念と人智を超えるような猛烈なエネルギーに度肝を抜かされてしまう。
 この作家は常人ではない。