寒くなってきた昨今、晩秋の朝にはそれなりの楽しみがある。
 朝五時は初夏のころとは違ってまだ暗く、夜の続きという感じさえする。
 
 深い夜の底が刻々溶けていく、そんな時間帯。ゴミ集積場までの少しの距離を歩く。仰げば雲間からの星が光っている。
《あの光るのは、もしかして火星?》
 大きくて地球に近づいているらしいのがよく分かる。
 
 散歩の人がぽつりぽつりと歩いていく。息が白いというほどの寒さではないけれど、それでも気合を入れないとちょっと躊躇いがちな朝の暗さと寒さ。
「おはよう」
「おはようございます」
 静かな路地に遠慮がちな挨拶が交わされる、晩秋の早朝。