『プロフィールの自画像』
 黒色の紙の上に色紙を貼付、14.9×14.9㎝

 黒い紙の上に人の横顔の線状に刻んだ色紙を貼付すると、人の横顔が浮上する。しかし色紙を見ると、その横顔は消えてしまう。
 イリュージョンフォーラム、錯視、騙し絵の類である。
 黒い紙を認識しているときは色紙は意識下にあり、色紙を認識しているときは黒い紙の方は意識下にあるという錯視の現象。
 つまり(存在)が(不在)になり、(不在)が(存在)として見えるということは、認識、意識が両方を並べて認識できないという脳内の仕組みに因しているということです。

 男性として認識すれば、潜む女性は決して見えない。精神と視覚(物理作用)には隔たりがあることの証明であり、デュシャンの内なる声の表明でもある作品だと感受。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENよりジャニス・ミンク