『泉』とタイトルした男子用小便器は、人類を二分割した定説への告発であり憤怒である。
 例外などとも言ってほしくない、等しく人権を持った個々人への尊厳を守るべく提示した作品(意志ある提示物)である。

 汚物(排泄物)への敬意ある振る舞い、日常の所作は聖なる儀式でもある。しかし、男子用小便器の存在には納得ゆきかねる疑惑が残る。男と女は対であり合である耶。
 生理的な差異は外部からは見えない。性器は被われ秘密の域であれば吐露、告白の義務を負わない。

 神、神秘の領域。男と女の二分割に疑惑を抱かない人たちが大半であるが、レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー・・・性的マイノリティ。
 『泉』で提示された男性使用、女性不使用の境界は残酷である。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENよりジャニス・ミンク