
ガラスの油彩、鉛線、鉛箔、2枚のガラス板で挟む、66×101.2㎝
この作品が2枚のガラス板に挟まった状態で提示している意味は何だろう。油彩で描いた「9つの雄の鋳型」の鋳型(立体であるべきもの)は敢えて平面に押しつぶしている。鋳型(立体)とタイトルしながら2枚のガラス板で暗に否定し平面に帰している、閉じ込めている。大いなる否定は憤怒でさえある。
(雄の鋳型)なんていうものが有るか?(無いというより答えがない)説明不可なるものを鑑賞者(世界)に発信している、「答えられますか」と。
雄へのこだわりは雌へのこだわりでもある。
♂と♀への不信、疑うことのない判然とした事実として扱われている条項に怒りを込めて物申しているのである。物議、世間で問題視されないこの大問題に物申している。
♂と♀の分類を素直に受け入れ信じている旧式かつ歴然とした常識・観念なるものに静かに物申しているこの怒りが垣間見える作品の無造作ぶり、この閉じられた観念を亀裂を入れてぶち壊す。
9つの態(様相)を何かに準える、確かに、そんなようでもある。《そんなようなもの》という軽い解釈が強い通念に変わり決定化する。
2枚のガラス板で挟んだ必然は破壊、崩壊のための装置である。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより