スケッチの絵はモノトーンである。
 したがって無機的な彩色による意味(機能)は極め限定される。花嫁という喜色に遠く、裸というありのまま、あるいは暴力的な消失の無為を感じなくもないという風である。

 画は具体性に欠けるが抽象という領域ではない。何かを暗示しているような素振りを伏線とした線描は鑑賞者の眼差しに委ねている。
 斜めに向かう線描は攻撃にも見え、中央(三体に分解するならば)は花嫁と置き換えることも可能である。鑑賞者の視線を集中させる要素はまた単に連結しているようでもある。
 要するに連想を誘い、連想を拒否する画である。

 真でも善でも美でもない、意味を霧消させるべく成した作画はただ在るのみで優劣(あるいは耽美)の範疇にも属さない。
 そういう意図《解放、分解、概念の拒否》をもって作画した丁寧かつ細部に及ぶそれらしさの画(スケッチ)である。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより