『太陽の中に徒弟を』

 徒弟、親方の家に住み込みで働く弟子を(太陽の中に)という。解放、自由を与えよ!旧式の手習いから脱出させよ、さすれば自由な発想の境地が開かれる、師匠は太陽(大いなる教本、在るがままの構築世界)にあるという宣告である。

 このスケッチ、一見して坂を登るため自転車をこぐ姿が提示されている。わざわざ自転車に乗って負荷をかけ前進する必要があるだろうか。自転車を放ち歩くべきである。早く進むための自転車は坂(上方)へ行くには障害でしかない。上方は太陽であり、高み(永久の高み)は超自然である。
 超自然、在るがままを習得するのだという鼓舞を内在したこのスケッチは(あえてする労苦を捨てよ)昔からの学習(観念的な技術)を放棄し、あるがまま自分のままで高みを目指すのだという暗示が秘められている。
 坂を登るに付き自転車という負荷は無駄である、自転車の重さに集中苦慮することを辞め、自分自身に立ち戻り世界を見渡しながら坂を登るべきである。
 太陽の中にこそ大きな教えがある。捨てるべきを以て、物理的世界を超える精神界(ありのまま)の坂をわたしたち徒弟は上へと目指すべきではないか。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより