
鷹野隆大「Kiuo(1999.09.17.L.b.#)『ヨコたわるラフ』シリーズより」
頭部を隠すと全体《女性》の感が強い、肉感的なふくよかさは女性そのものである。しかし、頭部の見える横顔は明らかに《男性》の感が強い。決定というより情報の集積で判断した通常と思い込んでいる受け止め方である。
男と女、雄と雌に分類されると学習してきたことに疑問を抱くことがなかった。この分類は多数の人に支持されてきた通念、常識として深く脳裏に刻み込まれた故、そのほかの分類は打ち消されてきた経由がある。
男XY、女XX。染色体46本の内44本は常染色体残りの2本が男女の性別を決定づけると教科書に載っていたことを事実として感受してきた。ここまでであれば[アンドロゲン不応症]にたどり着かない。
アンドリゲンホルモンに体の細胞が反応しないため胎内の段階から女性として生まれる男性。
Y染色体を持つ女性はアンドロゲン不応症(AIS)という性分化疾患(DSP)の女性。
精巣をもつが外見は女性であったり、精巣はないが外見は男性である人たちが厳然として居られるという事実に向き合うことなく生活しているので、違和感を持たざるを得ないという現況があ。
総ての人が存在意義を持ち権利を主張することの当然を当たり前に感受できる社会、教育に目覚めるべきことをこの写真は暗黙のうちに語っている。
美しい写真であり、人権を大らかに叫ぶ写真でもある。
写真は日経「『男が横たわる時・十選』木下直之」より