蟇歩く到りつく辺のある如く

 蟇が歩いている、彼のものに果たして到りつく辺があるのだろうか。しかし、ある如く歩く姿がある。

 人間は考える葦であると・・・ならば、蟇にもあるに違いない、到りつくという目標が。食うため、空腹を満たすため、生きるための前進は果てしない道のりである。偶然と必然を嗅ぎ分けて蟇は利へ動く。嗅覚、本能の眼差しは防衛を踏まえて敏く働く。

 到りつく辺は人間のそれとどれほどの違いがあるのだろう。死に到る必然は予想を超える時空である。時空の概念を蟇が持つか?
 人間の傲慢も蟇とさほど相違ない時空の所有ではないか。

 蟇に(わたくし)を重ねる、否、わたくし自身である。
 到りつく辺のある如く歩くのは《わたくし》に違いない。到りつく辺への怖れと渇望、深い闇を知る術は無い。