この作品を見ていると、しんみり泣けてくる。
 そう、この世はこんな風に小さなものなんだと。

 この小さな鳥かごの中の差異を差別と蔑視してはいまいか、総て死せば単なる物質と帰す。生命、生きるものの憐れは巨大である。
 差し込まれた温度計の普遍、太陽のエネルギーを享けてある生命。温度計は言わば、太陽を置換したものでさえある。
 わたしたちはこの事実を慎ましく享受し、存在の意味を問う姿勢を忘れてはならない。

 「多数が少数を制してはならないことの当然を声高く叫びたい。物質に帰するまでの時間を等しく享受し慎んで生きることの意味を問い直すべきである」という主張がこの作品には隠れている。幾度繰り返しても尽きない普遍性、当たり前を誘導する仕掛けが潜んでいる。
 『物と精神』の命題がある。

 写真は『DUCHAMP』TASCHEN