思ひ出し思ひ出し蕗のにがみかな(路 通)
思い出しながら蕗を食んでいるのか、蕗を食んでいるから思い出しているのか・・・。やっぱりこの蕗の苦さが思い出すことを誘引する、苦い思い出。
どうしたって、この蕗の苦みはかつての辛酸を引き出して止まない。一口嚙み、二口嚙み、心に秘めた過去の苦い光景をまざまざと思い出させる。
すでに終わったこと、訣別した過去である。しかしその苦さが未だに胸裏に疼くのはこの蕗の苦みのせいかもしれない、そうに違いない。
思い出し、思い出し・・・過去から逃れ得ぬわたくしである。