夕潮に纜張りぬ月見草(五十嵐播水)

 潮が満ちてきた夕べ、舟をつなぎ止める纜(綱)が張られている。潮流の静かなエネルギー。
 満月だろうか、新月かもしれない海の景は次第に暮れていく。

 月の引力が海水を引っぱる厳かな景観、夕方になると開花するという月見草の理(ことわり)。
 月に因る巨きな景色と地上の夕べに咲く小さな月見草の密かな会話、囁きが聞こえる。

 夕べという時の挟間に咲く命の開花(月見草)は人を妖しく誘い込む。