『日の出、日没(グラマンTBFを見た)』

 TBF アヴェンジャー(報復、復讐者の意)雷撃機、戦闘機である。
 この機体を見たという衝撃、しかし俯瞰で見たわけではないと思うが、見下ろす図である。縮小された機体と爆撃痕だろうか。敵対したアメリカ軍機を俯瞰で捉え、しかも玩具(模型)のように鉄板にはめられた作品である。

 襲撃、恐怖、破壊、どの断片を思っても忌まわしい記憶しかない戦闘機への凝視。空を振動させ、進撃していった怪物(グラマンTBF)への黒々とした思いの集積は、記憶として残存させるべき過去を刻んでいる。作家は1936年生まれであれば少年期戦争の恐怖を体験している、この作品には襲撃の爆音も潜んでいるに違いない。

 写真は「若林奮『飛揚と振動』展より