『わたしのためのあなた?』

 わたしのためのあなた? ローズ・セラヴィ用に印刷されたスーツケースのラベル。

 (わたし=あなた)である。
 ローズ・セラヴィ=デュシャンであることの告白、両方の性を抱えていることの自覚。
 デュシャンの呟き、苦悩への自虐。時代は未だこの感覚を受け入れることは無かったのだと思われる(今であっても)。

 少しづつ紐解かれていくデュシャンの闇の展開、否、闇であるはずもなく正当性を訴えている。時代が追い付かない歪みへの皮肉かもしれない。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENよりジャニス・ミンク