葺替の萱束抱きて受け渡す(茨木和生)
葺替の場面をテレビなどで見ることがある、長閑とも思える光景の内実。
厳しさの極みとも思える危険な作業は村全体の人手を要するという。次は自分の家だと思えば作業の手を緩めることもなく皆一丸となっての労働作業は団結というにふさわしい。
屋根の勾配への配慮、気を緩めれば落下。死者を出すまいぞの気合、現場の空気は警戒で張りつめている。
萱束を抱え、次から次へと連携で受け渡していく息の慎重はゆるぎない。
いかにも平和に見える村の光景は先祖代々引き継がれた責務である。茨木和生の写生、平明な語りに隠された眼光の鋭さを見る。
※人手や藁を集める困難により現在この光景は激減し、保存の負担に苦慮していると聞く。