のめといふ魚のぬめりも春めけり(茨木和生)

 この句を読んだとき、ポカンとしてしまい(何だったのか)奇妙な感覚に襲われた。
 確かに可笑しい、つかみどころのない不思議なリズム。

 のめといふ・・・飲め(?)か、のめという魚があるという。かりに鯖だとしたら(といふ魚)は不要である。
 《のめ》の語感、のめ~ぬめり、ぬめり~めけり・・・くねくねとしたリズム、早口言葉のような面白み。それが春を醸しているという逆説のような曖昧なホワッとした雰囲気。

 のめといふ魚のぬめり≠春めけり、しかし、《も》と同列にしている(さえも)という。
 何もかもすべてこの世は《春》めいてきたという愉しさを地味に感じる、ふつふつと可笑しくも不思議な句である。