限りなく何か喪ふ春みぞれ(山田みづえ)

 作者は空(窓外)を見ている、或いは外でみぞれ降る景色を見つめている。すでに春を迎えようとしている淡雪は地上に落ちる前に溶けてしまう、否、春そのものであれば・・・。
 数多の雪が儚く雨にかわる淡く切ない景色。地上に落ちて行く引力は喪失感を煽る。抗う眼差しもそれに肯くしかない。

 限りなく広がる時空。みぞれ煌めく交錯も雨の重さに打ち消されていく。消失は希望だろうか、過去の出来事だろうか、春のみぞれは未練ある混濁を落としてくれるかもしれない。

 何か・・・曖昧なまま、芒洋とした思いが消えて行く。
 喪ったものの行方を問うこともなく佇んでいる。