上昇のエネルギー源がないかぎり設置されたものの重心は下に向かうが床の着地面が不明なこの画において存在の根拠(有り様)は不明である。宙に浮いているとは思えないが、それぞれの部位の接続に疑問が残る。
 要するに流れや回転を醸しているパーツでありながら連続の意味が断絶(不明)なのである。

『花嫁』という美称、仮称。確かに存在するが、摑むべき実態は不在である。
《有るが無い》という存在(?)の微妙な空間の裂け目《空》を精密かつ丁寧な労力を持って具象化していることに密かな驚嘆を隠せない。
 デュシャンの力量の凄さは迂回の経路を辿ってしか鑑賞者に伝わらないが、判明してみるととてつもない崩壊感覚に襲われるのである。

 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク/TASCHENより