
精密に描かれているのに感動が薄い画である。描かれたもの(部分部分)の結びつきが不明なのに崩れ落ちず、さりとて流動が結実する狙いも希薄である。有りそうな様相を呈しているのに無い、つまり凝視するほどに空虚に行きつくのである。
このもの等は何を描き出しているのか、答が見つからない接合された集合である。絶妙なバランスは《何か》を表現しているようにみえる。何かは《ように見える》という領域を出ることのない曖昧さを描いている、実に念入りな構成は徒労?否、十分な表明を果たしている。
あらゆる具体性を表した線描(二次元における三次空間)は、あらゆる当確すべき対象を外している。換言すれば(何ものでもない)のである。
彩色は単調であり、木(有機質)の様にも見えるが器械的な金属素材(無機)をも思わせる図の確かさもある。描いたもの総ては(のように見える)という不思議なリズムを有している。
起動した途端崩壊破壊する仕組みであるような(負の構成)、負荷(エネルギー消費)が潜んでいるような、静かなる予感は真の正体を見せない。
『花嫁』という美称に持続性や定着はない。不思議な作品は、浮遊による着地点の不明確な領域の表明であり、告発でもある。
写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク/TASCHENより