
『チョコレート粉砕機』
粉砕機と名づけられたこの絵図、奇妙この上ない。現実のチョコレート粉砕機に準えたものであるらしいが以て非なるものであることは明白である。
動力源が不明(無い)であり、粉砕すべきローラーの向きが逆である。猫足の台も不安定で脆弱であり、機能に現実性が感じられない。
要するにもっともらしいが、無用の長物、無意味なる代物でしかない。
粉砕不可であるものを描いて、粉砕機であると名づける。名づけられたこと、それらしい外観に因って、そうであると断定する心理。
否定すべきものを見抜けず肯定へ誘い込む錯視のからくりを提示している。真贋ではなく(決定)を促す心理への不信である。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより