この作品の密に描かれた図を追って視ると、水車の軸棒が四角で区切られた空間の下に位置している。微妙にどこもおかしい、不具合があるようでないように見えるのは油絵の具で彩色した絵空事であるからで(いかにもありそうな雰囲気)を醸している。

 実際に絵図をもとにしても、これらは構築できない。不可のものを敢えて差し出し鑑賞者の眼差しを問うている。さあ、どうだと! 静かに差し出している。
 タイトル(言葉)に含みがあるように画(二次元)にも含み(嘘)がある。それを回転させて三次元にするという巧みな展開に虚を突かれる。見えないものを見せるという二重の虚空を具体的な物質を以て精神界の虚を垣間見せている。

 美しくも哀しい最大の知恵と力を込めた冷静な作品を前に鑑賞者は複雑な感想を抱く。その複雑な虚無は作品の意図の一端を担っている。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより