
この作品の不思議は空間があるように見えて空間を閉じている。拡散、持続があるようでいて対象は断絶している。光源も定かでない。
奇妙にバランスを崩しているのに一体化しているように見える、しかし、その立ち所はの基盤は見えない(浮いているようにさえ見える)。
これだけの物を描いて重量を感じないのである。軽いはずはないのに重くない。それぞれの部位の接着は曖昧であり、崩壊を免れないのではないか。斜めに連続している部位も確かな支えが欠如している。
対象は細かく接続を果たしているように見えるが、微かな接触で危うい態である。にもかかわらずそれを感じさせない妙。
存在しているが、存在の根拠が見えず、浮遊を停止している瞬間の様である。相当に困難な作業を通して《有るが無い》空間を仕立てている。デュシャンは見えないもの(社会構造の破壊/雰囲気)を描いている。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより