『急速な裸体に囲まれた王と女王』

 急速な裸体などというものは無い。進み方や変り方が非常に速い・・・劇的な変遷、時間を詰めているのか、しかし時間は法でもある。急速の裸体というのは意味の分解、意味の放棄であり、無に帰している。

 つまり最高権威にある王と王女を無に帰している、裸(自然)と王・女王(不自然、人為)は同等であり、区別がつかない。
 作品に於いてそれぞれを指定確認できない。しかし『急速な裸体に囲まれた王と女王』とタイトルすることで鑑賞者は作品の中にそれを見出そうとする。
 霧消した対象は肉体とは異質の物質に置換され世界(空間)を埋めている。存在を確認できないのである。

 タイトルと作品を凝視しながら作品の中に焦点・目的にすべき対象(形態)が分解していることを覚る。存在(描かれている)しているが、不在なのである。
 平等を声高に叫ぶ作品ではなく、有るが無いという不思議な力を感じざるを得ない作品は巧妙かつ繊細で、流動的であるように見えるのに停止しているという力学が働いている。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより