
146×89(㎝)はかなり大きい。壁面に設置すると目の高さになり、対峙の関係になる。
ぐしゃぐしゃと複雑な組み立て、しかしどこにもボルトのような留め具は見えない。複雑に重なった板状の木切れはタイトル『階段を下りる裸体』であることに因って人体を模しているように見えるが、よく見ると崩壊を前提に描いているようにも見える。
崩壊感覚、立派に現存するが確立の条件に欠ける。足元は機械的な旋回のようだし、全体の重心も特定できない。
大いなる奇妙を集積させた分解可能な疑似立体。
存在することの不安定な恐怖を内在させている。階段を下りる裸体は下りることを拒むポーズであり、言葉に抗っている。一瞬先を予期させるが、それを瞬時止めている。作用は反作用に因って静止する。
流動、刻まれるべき時間への抵抗は質的置換によって曖昧に回避、見込まれるべき時空は停止したままである。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより