
わずかに有機質(丸木の棒/止まり木)があるが、全体無機質の物ばかりである。少なくともすぐに腐食することは無く長い時間状態は持続する。硬質の沈黙に反応すべき材がない。
ただ温度計だけが空気に順応し変化を来す。内部の物に熱を発するものはなく、接する空気の温度を知らせるのみである。無作為に見える鳥かごの収納物は不気味でもある。
無為の不穏、受動的な変化はあっても能動的な動きは皆無であり、この対象物(『ローズ・セラヴィよ、何故くしゃみをしない?』)は永遠に静止せざるを得ない。
何故これを差し出したのか、《価値》を考えても有用な使途は見つからない。敢えてこれを選択した理由は何だろう。(見出せない意味)の産物、の妙。
価値の排斥、考察の拒否、存在するが無意味(非存在)でしかない物、見る者の関心を惹かず惑わせる対象物。
152個の角砂糖型の大理石が(石ころ)ではなく、あえて人工的に同質同型に刻んだ理由は画一的な人間あるいは思考があったに違いない。あえての遺物(イカの甲)である。
イカの甲は奇異、排除の対象になるが、そもそも窮屈な鳥かご(世界)自体が滑稽でもあるという客観的な見方もある。
世界の有り様、すべて存在という枠の中では《あるがまま》を常にとしているが、人為(人の心/精神)は多数こそが優位という錯覚を生んでいるに過ぎない。世界は《あるがまま》なのである。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより