見えている、しかし見えないものが在る。
 対象物はあきらかに知っている、理解できるものであるが、この集合は理解の外にある。

 鳥かごという概念は外してもよく、単に仕切られた収納であり、範囲内、範囲外のエリア設定に過ぎない。

 この集合物(152個の角砂糖型の大理石、温度計、イカの甲)は同質と異質の混在であり多数と少数の判別にある。
 真善美に於いて真かもしれないが善や美の主張はない。真かもしれないという微かに過る予感、漂う雰囲気がこの物(作品)の主張であるような気がする。
《同じであること》は《同じでないこと》と存在に於いて同質である。この根源的な凹凸への認識(偏見)は平易であるが、強制を強いるものでもない。

 『ローズ・セラヴィよ、何故くしゃみをしない?』は在るがままの自然であり、教示的な作為ある不自然でもある。存在論的な問いの形に《是非》の決定はない。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより