
『白紙委任状』
乗馬の婦人が林の中を横切っていく図である、少なくともそう見える。
しかし肝心の景に不具合がある。空間(景)が対象(乗馬する婦人)を隠すことなど有り得るだろうか。
乗馬の婦人が空間(景)を被うというのが順当である。
空間(景)が乗馬の婦人を被うというのも順当である。
しかし対象(乗馬の婦人)の背後に有るべき空間(景)が対象(乗馬の婦人)の前にあり、それ(乗馬の婦人)を隠すということは有り得ない。背後にあるべき空間が対象の前にあり対象を隠すということは自然の理に背く。背後にある樹が手前の対象(乗馬の婦人)を隠すことも無い。
錯覚、錯誤・・・精神は物理的根拠を覆す。精神界に於ける視覚は自由である。
違和感は精神界には順当であり、物理的法則に譲歩するする必然性はないが、常識という観念の壁が物(対象、景色)をあたかも決定づけているだけである。
すべては精神界の自由な解放に委ねられている。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより