『レディ・メイドの花束』

 男は緑深い林に対峙している。背後(背中)にはボッチチェリーの女神フローラの面影を被せている。男は何を見つめているだろうか、石製(ブロック)の柵が男と林の光景を隔てている。

 それきりの雰囲気・・・。
 茫洋とした世界を見つめているであろう男が背負うものは亡母のイメージだろうか、恋しいものを胸に秘めている、離れ得ない面影に明確な指定はなくひたすら存在の原初のような女への追慕である。

 上(空)下(大地)左右のない画面(領域)は閉ざしている、他(誰)の侵入も許さない孤の空間は浮いているのか拠り所を持たない精神に起因している。静かなる肯定はむしろ外部を全否定しているようでもある。

 写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより