『傑作あるいは地平線の神秘』

 三人の男の頭上に月がある、そして地平線・・・。
 三人は一人の男の分解かもしれないが、それぞれ異なる方向を向いている。こちら(前面)を向いたものはない。(前面は鑑賞者と対峙する位置であり現実に向き合うことになる)

 何処を向いているのか、それぞれの世界を持つそれぞれの人間心理、志向。人はそれぞれの世界観を持つが、同一の時空に存在していることが原則である。
 地平線における歪めようのない真実、当然の原理、《絶対》。

 どんなに特異な思考を以てしても、物理的原理の法に背くことは有り得ない。この基本原則の中でわたし達は生きている。頭上の月は普遍であり同じ時空に生きる、生きざるを得ないことの証明であり、唯一無二の約束である。
 人智では計り知れないミステリアスな事情に変移はない。仮に数多、何億の人の生老病死の変遷があろうとも・・・。

 写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより