一人づつ死し二体づつ橇にて運ぶ(松崎鉄之介)

 尊厳ある死、命の終りは一人で逝く。しかし都合上(豪雪地帯)、二体づつ橇で葬儀場で運ばれる物の扱いも肯定せざるを得ない。
 巡り合わせは無常である。


 三日過ぎ三日のしなひ掛大根(きくちつねこ)

 大根干、雨に当たらないように空を窺いながら一日一日を過ごす。
 三日経てば三日のしなり具合、掛けた大根のようすをさりげなく凝視、気にする日常の普段とは異なる神経の使いようがある。


 寒肥を吸ひきつてまた土眠る(横川放川)

 寒肥を施す。たっぷり栄養は回っただろうか、寒肥をしっかり吸い込んだであろう土への想い。
 地味豊かな土は春の種付けへの準備、脈々として眠る土への期待、土は活きている。