
空中に浮遊する群像、三次空間を埋め尽くす任意の人の数多、幻視である。
宙に浮く人などはいないが、宙に浮いている霊魂があるとは否定できない。歴史を刻んだ過去の無数の人々の群れ、すでに物質(骨)と化している人の霊魂の行方は誰も知らない。
霧消は絶対か?
見えない世界、見えない空気の中に彷徨している人の魂があるという仮説は成り立たないだろうか。
現世と来世は隔絶され、決して出入りは出来ない。絶対という掟である。絶対を覆すことは物理的には不可能であるが、精神的には可能である。この件に於いては物理界の律が優位であり絶対であるので、精神界では虚偽の扱いになってしまう。
もちろん、宗教界における眼目は強固であって信念、祈りの境地でその掟を論破し、現世の衆を救いに導く。確証は精神界にあり、見えないものを信じる力は物理界の法則からも離脱を可能にする。
見えない空無の中には、過去の霊魂が無数に散在しているが、通常見えないと確信しているだけであると、作家(マグリット)は密かにも思い『ゴルゴンダ』という作品に昇華してみせたのではないか。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより