足袋脱 いで眠りは森に入るごとし(神尾久美子)
足袋(靴下)を脱いで眠る・・・足裏は布団の中で床に着地せず空を踏む(浮く)。足裏が床に付かないのは身体を横にした時だけに限られる。この解放感、宙に浮く感じは得難く、やがて眠り(夢幻に誘い込まれる)に就く。誘われる異世界は森の香り囁きかもしれない。
平凡な妻の倖はせ色足袋はき((柴田白葉女)
白足袋を履く緊張感からの解放、色足袋は働き着である。今は見ないが、昔は着物姿(モンペ)は普通だったかもしれない。色足袋は丈夫で汚れが目立たない。
昨日の仕事を今日再び繰り返す、炊事洗濯掃除などの日常に喜びをもって躍動できることは至福だと唄っている。
平凡な妻としての生きがいは勇んで色足袋を履くことから始まるという賛歌。
さしあたり箱へ戻しぬ新巻鮭(池田澄子)
立派な新巻鮭・・・どうすりゃいいのの困惑。さしあたり箱に戻してから考えましょう、というため息が聞こえてきそうな句。まな板も包丁もこんな大きい新巻鮭には足りないもの。