水涸れて昼月にある浮力かな(大峯あきら)

 水が涸れるほどの厳しい冬の大地である。しかし見上げた昼の白い月はあたかも青くたっぷりとした水に浮かんでいるように見える。
 水を希求するわたくしの幻視である。


 冬の水一枝の影も欺かず(中村草田男)

 凍り付いたような水の面、風のない冬の湖(池)に映る景色はまるで鏡に映したようである。
 木の一枝さえも忠実に反映した瞬時の神秘に緊張感が走る。


 わが指紋冬の泉に残しけり(坂本宮尾)

 指紋を水に残すことなどは有り得ず、有り得ないこと(空無)に対する求道への問い(試問)である。
 この冬(厳しくもすべて失われた)わたくし自身、泉(あの世)に能力を問うものである。