冬山の倒れかかるを支へ行く(松本たかし)

 冬山の倒れかかる? 〈動かざること山の如し〉である。絶対に倒れかかることなどないと思っていた…父さん。
 春夏秋冬、冬の極みに衰え、倒れかからんとしている。支えることは必然、行くことを躊躇う余地はない。


 枯山に鳥突きあたる夢の後(藤田湘子)

 枯山に鳥突きあたる? 鳥が前を遮られて前へ進めないということか、否。
 枯山はコサンと読んで、古参。
 鳥はチョウと読んで、長。
 後はコウと読んで、講 or 慌。
☆古参と長(トップ)が衝突した、夢の講(話)である。あるいは慌(狼狽えた)かもしれない。


 落石の余韻を長く山眠る(片山由美子)

 落石の余韻、単なる落石かもしれないし、火山の爆発など大事故の跡(余韻)かもしれない。そうした恐ろしい経由があっても長い時間(歴史)のなか、山は無言のまま冬を迎えている。しかし春の来ない冬はなく、幾星霜を刻む山の態である。