深雪晴 わが影あをき虚空より(深谷雄大)
一面の雪野原、止んだ雪の面を冬の陽が照らしている。
真白な雪の面に翳した自分の影、そして空を見上げると自分の影が空に浮いている。
わたくしの影が青い空(虚空)からやって来たような錯視に心惑う。あれは確かに(もう一人のわたくし)が宙から舞い降りて来たのだと心が動き凝視したことである。
埋めたての水子を掘りに雪をんな(木内彰志)
ああ、現世で生まれるはずだった愛しい生命の夭折、水子への慟哭。急ぎ雪をんなはその亡霊を探し掘り当てにゆく。その冷たい手で哀惜と無念をもって冷たい亡骸を掘りにいき、をんなは掘り当てた水子を胸に抱きしめたに違いない。
雪しまき列車は一人のみ吐きぬ(櫂 美知子)
吹雪である。
前後も定かでない寒村の駅のホーム、列車から降り立った人がいる。が、後に続く人もなくただ一人だけを残して列車は走り去った。
雪しまきに容赦はない、あたかも吐き出されたという態の一人の行方は家路か仕事に向かうに違いないが無事を危惧するほどの強風である。
歯を食いしばり抗いつつ歩む一人を見つめていたわたくしである。