手の中に小さき手のある雪催(辻 美奈子)

 手の中にある小さき手、幼い子供の手である。
 今にも雪が降るような重く暗い空の下、冷たい風は容赦がない。やっと歩いている我が子の手を握り締めている母の姿。負うには大きく、荷を持つ片側の手、精いっぱいの態で家路を急いでいる。
 この手だけは離せない、守るべきわたしの命の子、つないだ手を離せない。


 応々といへど敲くや雪の門(去 来)

☆雪の門というのは空間の相の変化であり、異空間へと変貌を遂げる自然の驚異を敲くと言っているのではないか。転変変異への大いなる礼節として、わたくしはその門を敬意と畏れをもって敲くと表明している。
 雪は(逝き)を潜ませ、度々誘い込まれそうな異世界(冥界)ではあるけれど、わたくしはその極みの門を敲き打つ・・・拒んでいる。
 しかし、雪(逝き/死)の門は常にわたくしの前に立ちはだかっている。