カーテ ンの動いてゐるは隙間風(高浜年尾)
カーテンが動いてゐる。
何だろう、怪しい動きに脅える。揺れの微妙さ・・・ああ、古い家の戸の軋み、隙間風だと苦笑する。きっちり閉めたはずの戸の隙間、風がわたくしをからかっている。
小包を母につくらむ初しぐれ(黒田杏子)
初しぐれ、すでに冬である。何につけても母を思うわたくしはこの時雨の音に急かれるように小包を造ろうとしている。恋しい母への気持、何を包もうか、とにかく母へこの気持ちを届けたい。
(お母さん、お身体に気を付けて、ご自愛ください)と。
しぐるるや目鼻もわかず火吹竹(川端茅舎)
涙が出そうな眼である。
目鼻もわかず・・・どこが目やら鼻だやら、顔中口にして火吹竹を吹いている。
断続的な雨に躰をかがめて風呂焚きをしている貌はクシャクシャで目鼻も区別できないに違いない。湿気た時雨の釜戸、容易に火が立ち上がらない困惑、懸命な有体は自虐だろうか。